朝日新聞ニュースよりhttp://www.asahi.com

 鳥インフルエンザの感染が相次いでいることを受け、農林水産省は、全国の養鶏場で防鳥ネットに破損がないかなど管理・衛生状態を、各都道府県に一斉点検させる方針を決めた。また、感染が疑われた段階での通報の遅れが続いたため、「死んだ鶏などの家禽(かきん)の数が普段の2倍以上になったら必ず通報する」との新基準を設けた。

 都道府県の担当部長を集めて29日に開く緊急会議で、鹿野道彦農水相が指示する。ウイルスの「運び屋」とみられる野鳥の侵入を防ぐ防鳥ネットに破れや穴がないか▽ネズミなどの野生動物が鶏舎内に侵入していないか▽作業員が鶏舎内に入る際に適切な消毒をしているか――などの点検を求める。

 また農水省は、各養鶏場ごとに通常、1日あたりに死ぬ羽数を調べて平均値を設定し、その2倍を超えたら必ず通報する、との基準を設けた。会議では、この基準を養鶏農家が守るよう都道府県に指導を要請する。

 これまでは、国の防疫指針に「死んだ羽数が3日で全体の10%を超えた場合は、都道府県が鶏の移動自粛を要請する」と定められているだけだった。

 感染が確認された鹿児島県出水(いずみ)市の養鶏場では、死んだ数は21日まで1日10羽以下で、22日以降は30羽程度に増えたが、通報は84羽が死んだ25日だった。愛知県豊橋市の養鶏場でも、通報は100羽以上の大量死が始まって3日目だった。こうした通報遅れを憂慮した措置だ。

 農水省は昨年11月の島根県安来(やすぎ)市での発生時も、都道府県に各養鶏場の点検を求めたが、感染が相次ぐ宮崎県では、対象984戸のうち、実際に県職員が足を運んで現状を確認したのは24%の232戸にとどまった。残りは、当事者である農場の関連会社に任せたり、書面だけですませたりしており、今回発生した養鶏場についても「問題なし」としていた。

 このため農水省は、都道府県の家畜防疫員か、農協などに所属する獣医師が直接、養鶏場を訪れて調べることなどを求める。

 一方、環境省は、鳥インフルエンザウイルスが強毒性と判明した段階で発生を公表するよう各都道府県に求めていたが、27日から基準を緩和し、簡易検査で陽性なら公表できるようにした。