ネズミ駆除が重要
株式会社防除研究所
代表取締役 梅木厚生
近年、農水省ではネズミが、鶏舎内外へ、ウイルスの媒介者になっているとの見解だ。
特に、今からの時期、各地で鳥インフルエンザウイルスの発生が恐れられている中、ネズミ、小動物、野鳥対策を考えなければならない。
長年、畜産経営者はこのネズミにはかなり苦戦しているのだ。
1)いろいろ対策をとっているがうまくいかない。
2)駆除はするが、増えている
3)やっても無駄
など、鶏舎経営者の悩みの種だ。
その結果、畜舎には『ネズミはいて当たり前』になっているのが現状だが、ネズミ駆除は必ず行い、施設内からいなくしなければならない。
ネズミ世界も人間世界と似て、季節感はあるのだ。
春の新芽が出るころに活発に動き出す。夏は、水を通常の3倍近く飲む。秋は、冬を越すためにたくさん食べ物を食べ、繁殖のため巣作りをする。冬は、外には食べ物がないので建物内等で行動する
年中繁殖はしますが、1年間で最も繁殖期と呼ばれる時期は、春と秋なのです。
じゃあどうすればいいのか
そんな経営者様のために、今回、具体的にどのような手順で対策をすればよいかをお話いたします。
餌樋の中で餌を食べるクマネズミ
|
繁殖したクマネズミの仔
|
畜舎では、施設の環境によって、防除法が変わり、それぞれの鶏舎の構造、周囲の環境によって防除ポイントを変えなければいけません。
まずはネズミの生態を知ることから始めましょう。
ネズミの種類と特徴
|
『鶏舎のネズミ調査5つのポイント』
ネズミの通路
|
除糞ベルトの隙間
|
集卵ベルトの隙間
|
1)集卵ベルトの開口部分の隙間、壁の中など。
2)除糞ベルト、ピット、外部間の隙間など
3)壁と屋根の接合箇所の隙間など
4)排水溝など
5)外壁の水切りの隙間、配管の隙間など
調査の頻度は、毎日でもして欲しいのですが、2週間に1度は必ず実施が必要です。
早期発見、早期対策をしなければ、畜舎に侵入し、1週間足らずで繁殖したケースもあります。
畜舎内では、温度、餌、水などネズミにとっての生活環境が整っていますので繁殖スピードも速く、一気に増えます。
『駆除の5つのポイント』
1)施設内外をしっかり調査し、問題箇所を把握する『図面に記入』
2)鶏舎内外を徹底的に整理整頓する
3)駆除スタッフが、ネズミの知識をつける
4)鶏舎内の駆除計画を立て駆除グループを作り徹底的に行う(いつ、誰が、どこを)
5)外部より侵入箇所があれば1cmの隙間まで塞ぐ
クマネズミの脱糞
|
天井、壁に穴
|
配電盤の隙間
|
施設内調査風景
|
さて、何処をチェックすればいいのか
チェック表を作り定期的に監視していくことが大事です。
採卵鶏舎簡易ネズミチェック表
鶏舎番号( 号 )
|
平成●●年●月●日
|
担当者
|
□有 □無
□有 □無
□有 □無
□有 □無
□有 □無
□有 □無
□有 □無
|
集卵ベルトのバー上部
除糞ピット付近
餌樋の周囲
鶏舎の四隅
配電盤周囲
ファンバンク内
外壁、ドアの隙間(外周)
|
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
|
鶏舎内は、埃が多いので、ネズミの形跡がわかりやすいのです。
特に、パイプの上、梁などの上部が擦り切れている箇所は、ネズミの通路と判定しても良い。
糞の有無だけではなく足跡をしっかり調査し、ネズミの行動を把握して駆除計画を立てる。
『駆除方法』
?捕獲法
|
?ケミカル処理法
|
?忌避法
|
?清掃法
|
|
粘着トラップや、捕獲器など(鶏舎通路、天井裏、倉庫、除糞ピットに配置)
|
専用の容器、ボックスなどに餌を入れ配置、通り道に散布(鶏舎通路、天井裏、エレベーター上部に配置)
|
ネズミの生息箇所や、通路などに忌避具、忌避剤を設置し、寄せ付けない(集卵ベルト・除糞ピット、天井裏、
|
各、形跡箇所や、倉庫、資材など整理し、徹底的に清掃を行う。
|
|
|
|
|||
|
|
最後に
衛生管理は、重要なのはわかってるはずですが、もっとも有効な管理は、業者任せにせず、
自己防衛が大事です。鶏舎管理に必要な、全管理項目の知識、経験を身に付けるのは至難の業ですが、まずは基本知識から勉強、現場スタッフと連携し、自分たちで守る農場作りを目指してもらいたい。
ネズミはある意味、鶏舎管理の基本教材にもなるのではないかと思います。
人間は;どうしたらいなくなる?はいらせないか? ネズミは;どうやってはいろうか?生活しようか? お互い歩み寄れない、知恵比べだ。
まだまだ課題は多いですが、今後の畜産業界発展に期待をしています