ネズミ駆除が重要
株式会社防除研究所 
代表取締役 梅木厚生
 
近年、農水省ではネズミが、鶏舎内外へ、ウイルスの媒介者になっているとの見解だ。
特に、今からの時期、各地で鳥インフルエンザウイルスの発生が恐れられている中、ネズミ、小動物、野鳥対策を考えなければならない。
 
長年、畜産経営者はこのネズミにはかなり苦戦しているのだ。
1)いろいろ対策をとっているがうまくいかない。
2)駆除はするが、増えている
3)やっても無駄
など、鶏舎経営者の悩みの種だ。
その結果、畜舎には『ネズミはいて当たり前』になっているのが現状だが、ネズミ駆除は必ず行い、施設内からいなくしなければならない。
 
ネズミ世界も人間世界と似て、季節感はあるのだ。
春の新芽が出るころに活発に動き出す。夏は、水を通常の3倍近く飲む。秋は、冬を越すためにたくさん食べ物を食べ、繁殖のため巣作りをする。冬は、外には食べ物がないので建物内等で行動する
年中繁殖はしますが、1年間で最も繁殖期と呼ばれる時期は、春と秋なのです。
じゃあどうすればいいのか
そんな経営者様のために、今回、具体的にどのような手順で対策をすればよいかをお話いたします。
 
餌樋の中で餌を食べるクマネズミ
繁殖したクマネズミの仔
 
畜舎では、施設の環境によって、防除法が変わり、それぞれの鶏舎の構造、周囲の環境によって防除ポイントを変えなければいけません。
まずはネズミの生態を知ることから始めましょう。
ネズミの種類と特徴
種 類
体長・体重
寿命
妊娠期間
出産数
主な生息箇所
行 動
クマネズミ
18?22cm
約3年
約21日
約6匹
天井裏・壁等
配線、配管等を垂直
 
に上下する。跳躍力
120?200g
年5?6回
に優れる。
 
 
ドブネズミ
22?25cm
約3年
約21日
約8匹
除糞ピット・溝
下水、側溝等を利用
 
排水・土中など
した平面的行動が
200?400g
年5?6回
 
多い。泳ぎも潜水も
 
できる。
ハツカネズミ
6?10cm
約2年
約20日
約6匹
クマネズミに類似した
跳躍力、遊泳力もか
 
所に多い
なり優れ、跳びはねる
10?20g
年6?10回
屋外にも多い
ような歩き方をする。
 
 
 
 
 
『鶏舎のネズミ調査5つのポイント』
ネズミの通路
除糞ベルトの隙間
集卵ベルトの隙間
 
1)集卵ベルトの開口部分の隙間、壁の中など。   
2)除糞ベルト、ピット、外部間の隙間など
3)壁と屋根の接合箇所の隙間など
4)排水溝など
5)外壁の水切りの隙間、配管の隙間など
 
調査の頻度は、毎日でもして欲しいのですが、2週間に1度は必ず実施が必要です。
早期発見、早期対策をしなければ、畜舎に侵入し、1週間足らずで繁殖したケースもあります。
畜舎内では、温度、餌、水などネズミにとっての生活環境が整っていますので繁殖スピードも速く、一気に増えます。
 
『駆除の5つのポイント』
1)施設内外をしっかり調査し、問題箇所を把握する『図面に記入』
2)鶏舎内外を徹底的に整理整頓する
3)駆除スタッフが、ネズミの知識をつける
4)鶏舎内の駆除計画を立て駆除グループを作り徹底的に行う(いつ、誰が、どこを)
5)外部より侵入箇所があれば1cmの隙間まで塞ぐ
 
クマネズミの脱糞
天井、壁に穴
配電盤の隙間
 
施設内調査風景
 
さて、何処をチェックすればいいのか
チェック表を作り定期的に監視していくことが大事です。
採卵鶏舎簡易ネズミチェック表
鶏舎番号(      号 )
平成●●年●月●日
担当者 
□有     □無
□有     □無
□有     □無
□有     □無
□有     □無
□有     □無
□有     □無
集卵ベルトのバー上部
除糞ピット付近
餌樋の周囲
鶏舎の四隅
配電盤周囲
ファンバンク内
外壁、ドアの隙間(外周)
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
齧った後、足跡、脱糞があるか
鶏舎内は、埃が多いので、ネズミの形跡がわかりやすいのです。
特に、パイプの上、梁などの上部が擦り切れている箇所は、ネズミの通路と判定しても良い。
 
糞の有無だけではなく足跡をしっかり調査し、ネズミの行動を把握して駆除計画を立てる。
 
 
 
 
『駆除方法』
?捕獲法
?ケミカル処理法
?忌避法
?清掃法
粘着トラップや、捕獲器など(鶏舎通路、天井裏、倉庫、除糞ピットに配置)
専用の容器、ボックスなどに餌を入れ配置、通り道に散布(鶏舎通路、天井裏、エレベーター上部に配置)
ネズミの生息箇所や、通路などに忌避具、忌避剤を設置し、寄せ付けない(集卵ベルト・除糞ピット、天井裏、
各、形跡箇所や、倉庫、資材など整理し、徹底的に清掃を行う。
 
 
 
 
   
 
最後に
衛生管理は、重要なのはわかってるはずですが、もっとも有効な管理は、業者任せにせず、
自己防衛が大事です。鶏舎管理に必要な、全管理項目の知識、経験を身に付けるのは至難の業ですが、まずは基本知識から勉強、現場スタッフと連携し、自分たちで守る農場作りを目指してもらいたい。
ネズミはある意味、鶏舎管理の基本教材にもなるのではないかと思います。
人間は;どうしたらいなくなる?はいらせないか? ネズミは;どうやってはいろうか?生活しようか? お互い歩み寄れない、知恵比べだ。

まだまだ課題は多いですが、今後の畜産業界発展に期待をしています