農作物を食べてしまうアライグマが増える恐れがあるとして、県が駆除で1匹あたり3000円を支払う奨励金制度を今年度から始めた。東京電力福島第一原発事故の避難指示で、人が住まない地域が広がり、アライグマの増加や定着を後押ししかねないと心配しており、早めに手を打って定着地域の拡大や増加を食い止める狙いがある。県が2014年度にアライグマの生息状況を調べたところ、郡山、いわき、南相馬、三春、磐梯、飯舘、平田など14市町村が「生息を断定」との判定となった。特に原発事故の避難指示区域が多い双葉郡では、川内村を除く7町村が「生息を断定」となった。

 このほか、目撃情報があるなど、「生息の疑いが強い」市町村も15に上ったという。県自然保護課の担当者は、「アライグマの生息数は少しずつ増えているようだ。県内全体に広がって大きな被害が出る前に食い止めたい」と話す。

 環境省によると、アライグマは1990年代にペットとして輸入された個体が逃げるなどして日本各地に広がったという。トウモロコシやメロンなどに被害を及ぼすため自治体などが駆除を進めている。

 県は今年度予算に、既に300匹分の奨励金90万円を計上。昨年11月には、2020年度までにアライグマを県内から完全駆除する計画を策定した。今後、捕獲用わなや殺処分装置の貸し出しも行うという。