養鶏場のネズミ駆除? 防除研究所

養鶏場におけるネズミ対策 シーズン第2回:駆除編

株式会社 防除研究所
梅木厚生

前回、ネズミ駆除に必要な調査方法、調査箇所などを紹介しましたが今回は、適切な駆除方法を紹介します。(ネズミ駆除の基本、畜体アウト時の駆除方法、定期的に行う駆除方法)駆除に当たっては、調査の結果を踏まえ、対策をとることが重要になりますのでまずは、調査結果をしっかり把握した上で準備を始めます。

駆除方法

鶏舎での防除法
科学的防除法

薬剤を用いて駆除する方法で主に殺鼠剤、忌避剤があります。殺鼠剤は、成分と効き方によって使用箇所などを使い分けます。

物理的防除方法

ネズミを捕獲する方法(粘着トラップ、捕獲ゲージ、捕獲器など)ネズミの穴を塞いだり、侵入を遮断したりし防ぐ方法。

環境的防除方法

ネズミは、餌などこぼれや、汚いところ好む習性がありますので、鶏舎内の整理整頓、清掃、外周に関しては、除草、廃棄物の処分などネズミの隠れ場をなくすことが重要です。

科学的防除
ケミカル法

ネズミは環境によって好む餌は変わってきます。餌テストを行い主餌選定し、配置するとより効果が得られます。餌のこぼれや、埃等が多いと効果が低減します。ネズミは警戒心が強く新しいものは中々食べてくれません。常に同じ場所に配置し、警戒心を解くことが重要です。

忌避剤

ネズミの嫌がる臭いの固形型、液剤型などがある。

物理的防除
捕獲法

目で見える駆除法 粘着トラップ、捕獲ゲージ、筒型捕獲器(防研パイプ)、全自動捕獲器など

忌避法

ネズミの通路や、部分的に寄らせないネズミ撃退装置スーパーハヤブサ(ネズミの嫌がる高周波をランダムに発生させる装置)を設置

塞ぎ法

ネズミの侵入口、生息しやすい箇所を塞ぎます。(ネズミの住みにくい状況にする)

環境的防除法
清掃法

整理整頓、施設内外の埃などを除去する。(薬剤の効果アップ、捕獲率のアップ、形跡の有無の把握)

具体的な駆除方法

天井裏での処理は畜体に直接触れる可能性は低いため殺鼠剤の使用は有効になります。急性毒性殺鼠剤(注1)は食べてから死鼠するまでに時間がかからない分ネズミが警戒して食べなくなり継続使用が出来なくなる場合が多いです。慢性毒性殺鼠剤(注1)は、毎日数日間致死量を食べ続けなければ効果はありませんが、警戒されることなく自然死するので主に使用されています。
鶏舎での駆除は、畜体アウト時、定期的に行う方法に行う方法の2通りを紹介いたします。

1.オールアウト時の駆除方法

アウト時に使用する薬剤は、主に急性毒の殺鼠剤を使用します。畜体をアウトしてもネズミは一時的に餌などが残っている場合は生息しています。清掃・洗浄などを行った場合は隣の鶏舎(アウトしていない鶏舎)に移動し繁殖、生活を続けます。全棟オールアウトを一斉に行ってネズミ駆除を実施すると高い効果を見込めますが、現実は無理なのでアウト時の1週間が勝負ということになります。
鶏舎に生息しているネズミは畜体と同じ餌を食べているのが基本になります。ねずみと畜体との違いはゲージ内か鶏舎内全体で生活かの違いです。畜体は餌箱のみで餌を食べます。ネズミは餌箱、餌のこぼれた箇所、ホッパーなど餌がある箇所すべてで食べることが出来ます。水も同様です。
アウト時には、同じように餌箱内、ポッパーや餌がこぼれた箇所などに殺鼠剤を配置することが大切です。薬剤を配置するので駆除が終わったら、しっかり洗浄・清掃を行うことが必要になります。薬害が残らないように餌箱にシートなどを敷いて殺鼠剤を配置するようにしましょう。殺鼠剤の量は、ネズミの数『生息数』×2倍の量 たとえば500頭の場合は50g×1000頭分(50Kg)を目安にしましょう。粘着トラップ、捕獲ゲージも有効になりますので3種の防除(?殺鼠剤を配置、?粘着トラップを配置、?捕獲ゲージなどを配置)を行うとより効果が得られます。

2.定期的のネズミ駆除

鶏舎内での、モニタリング形跡調査(注2)の情報からネズミの行動ルートに駆除剤を配置します。
急性毒、慢性毒をうまく組み合わせることが重要です。また、ネズミの一日の喫食量は、30gから60gなのでそれを踏まえた量、配置数、場所を決定します。ここで注意が必要なのは、チェックがし易く交換しやすい場所に配置ばかりすると死角が出来る場合があります。
(大事なのは生息数よりも多めの殺鼠剤を配置する事です。)
粘着トラップの使用は、埃などが多いため無駄になることが多いのでポイントを押さえて配置することが望ましいです。
必ず捕獲数、薬剤使用情報を図面や表でまとめて管理をしてください。

防研式ネズミ駆除法の手順(ネズミコントロール防除)
  1. 畜体に影響のない場所に駆除薬剤、資材を配置すること。
  2. 環境の汚染などに配慮した薬剤などを使用する。
  3. 薬剤の使用量、配置箇所などを図面、表にしてデータ保存する。
  4. 殺鼠剤を使用する際は、手袋、マスクなど必ず使用し、露出部分を少なくする。
  5. 高所作業に関しては必ず2名以上で行い、安全対策をとる。

今回は、科学的防除法のお話をしましたが、次回お話しする?物理的防除法及び?環境的防除法をうまく使用し同時に行う方法など総合的ネズミ駆除を紹介いたします。

性質成分例特徴
慢性毒性ワルファリン
クマテトラリル
●連続して4~5日の摂取が必要
●不摂取があると効果が半減
●抵抗性獲得多い
急性毒性プロマジオロン
ジフェチアロール
●1~2回の摂取で効果
●抵抗性獲得少ない
形跡がまったくないほとんど生息していない
ネズミは見ないが
脱フンが時々見られる
100匹程度生息
昼間に時々、夜間は
さらに多くのネズミの姿を見かける
100~500匹生息
昼間でも頻繁に姿を見る1,000匹以上生息